ゲーム脳の講演に行ってきた。

今日は医学博士・森昭雄氏の講演(ゲーム脳)に行ってきた。場所は越谷のサンシティ小ホール。新越谷駅をおりてすぐのダイエー横にある。時間はきっかり2時から始まった。大体100人くらいは来ていたのではないか。席を2つ3つあけて座るくらいであった。聴講者は親子連れ・主婦・若者・年配の方それと学校の先生も来ていたようだ。
ここから森氏の講演の内容を適当に書いてみる。



まず自己紹介からはじまって、「ゲーム脳」というものの発表から、現在まで世界各国での反響等々のこと。本は2年前にNHK出版から「ゲーム脳の恐怖」として出版され、韓国版も出版された。また「ゲーム脳」が先日BBCニュースでもとりあげられた。
最近若い人の脳のベータ波がおかしいといった状況がある。具体的には人間の脳からは2つの波、アルファ波とベータ波が出ている。アルファ波はリラックス状態になると、ベータ波は、読書や考え事をして脳が活動状態になると検出される。若い人の脳のおかしい状況とは、このベータ波がアルファ波と重なり常に落ち込んだ状態にあり、この状況がまるで「痴呆症」のようであることだ。
ベータ波が常に落ち込んだ状態におかされた人間は「目に見えない部分で、行動的におかしい」。例えば、人間は言語によってのコミュニケーションが基本で大切である。しかしながら先の状況の人間は大人になっても自分中心である。この状況におかされた人間の脳を「ゲーム脳」と呼ぶ。ちなみにこの「ゲーム脳」という単語は、「現代用語の基礎知識2003」にも掲載された。
ここから脳の構造。人間の脳は外側から新皮質、古皮質、脳幹、脊髄といった構造になっている。そして新皮質の部分が人間らしさを引き出し、例えばこの部分がない動物は「夢」を見ない。
新皮質、特に「前頭前野」は古い脳(つまり本能の部分)を抑え制御する役割を負っている。これがないと(働いてないと)犯罪を平気で起こすような人間になる。例えば今年も成人式で騒ぎを起こした人間がいたが彼らはこの部分に問題がある。
新皮質は厚さ3ミリ*1ほどで、6層構造になっている。非常に狭い空間に押し込められているためしわがある。脳にはシナプスという細胞があり、ネットーワークを構成しているが、人間と動物の違いはシナプス自身ではなくネットワークの構成の違いであり、人間はそのネットワークが非常に複雑である。
脳の発達の大部分は幼少時にされる。よって3歳までの教育は非常に大切である。小さいときは人間は入力だけで出力をしない。このとき一方的な情報ばかり与えていると脳がおかしくなってしまう。例えば笑わなかったり、多動といった症状が現れる。そのためアメリカや欧米では4歳までテレビは見せない。
脳の発達において遺伝子的な要因は60%といわれている。よってあとの残りの40%は環境・教育に依存する。例えばインドのオオカミ少女があげられ*2、彼女は結局死ぬまで2足歩行で走ることができなかったし、覚えた単語は40程度だった。
人間の脳に「前頭連合野」という部分があり、意思決定や反省・道徳心等といったことをつかさどる。1848年に、アメリカ人のフィネアス・ゲイジという人物が太さ3cmの鉄の棒が頭蓋骨を突き抜けるという事故に遭った。彼は命をとりとめたものの、前頭連合野を失ってしまった。事故前は知的で、周囲に尊敬される人であったのに、人がかわり、責任感はなく、軽薄で、計画性もなく、場当たり的な生活しか出来なくなってしまい、最後には野垂れ死にした。
アルファ波は脳全体から測定される約10Hzの脳波で、ベータ波はアルファ以上の周波数をもつ脳波である*3。「ブレインモニタ」という脳波を測る機械を開発し、これを使いアルファ波・ベータ波を計測したところ、ゲームを開始するとベータ波が下がる現象が見られた。ゲームに対するベータ波の具合から脳は以下の4つに分類できる。ゲームをしてもベータ波が下がらない「ノーマル脳」、ゲームをするとベータ波が下がり、ゲームを終えるとベータ波が元に戻る「ビジュアル脳」、ゲームをするとベータ波が下がり、ゲームを終えたあとも、なかなかベータ波が元に戻らない「半ゲーム脳」、常にベータ波が下がりっぱなしの「ゲーム脳」だ。
ゲーム脳になると、考える力が低下したり、無気力になったり、いろいろ弊害もでてくる。職に就けず、フリーターになる。ゲーム脳の人は、人とのコミュニケーションが苦手だ。例えばある高校で講演を行なっていて、ある男子生徒がこんな質問をした。「僕はゲームでは彼女ができるのですが、現実には女の子と会話すらできないのです。先生、どうしたらよいのですか?」全校生徒の前でそういうことをいうのは正常なら恥ずかしくてできないはずだが、できるのは目の前の人しか見ていないからだ。
ゲームを30分すると、右脳の機能が低下する。これからは右脳の時代だ。右脳が活性化するゲームを作れば売れるはずだが、そんなものはいまだ存在しない。
どんなジャンルのゲームにおいてもベータ波の低下は見られる。テトリスは軍事目的で開発された、人間をロボットにするための人殺しゲームだ。簡単に殺戮ができるようにするためものだ。RPGは人を殺すゲームだ。いままで600件ほど実験データを取った。
ゲーム脳からの回復は「お手玉」が効果的だ。数学者はお手玉が脳に良いことを知っている。自然と触れることも大切だ。音楽は右脳を活性化させる。



あとは質問といったところだ。以上ほんとに適当に書いてみた。もうすこしまとまりそうだが必要以上に僕(ototoi)というフィルタにかける必要もないので、このままにしておく。
個人的な意見を書くと、森氏の主張するとおりゲームによってベータ波が下がってその状態が続き、思考能力の低下を招くのであれば、十分注意していく必要があるのだと思う。またゲームに対し強い依存性をもった子供がいるのであれば、それだけで問題視できる。警告を鳴らしていくことは間違っていないと思う。
ただ彼の論理には一部飛躍というか問題がある。
まずベータ波が下がることが害悪と言い切れるかどうかが明確に示されていない。
またゲームに対象を絞る理由が不明である。ベータ波が下がるという現象が、氏の講演を見る限り映像メディア一般に言えるのである。幼児には映像をあまり見せるべきではないと言っておきながら、実験する段階になってなぜか対象がゲームだけに絞られているのだ。今回の講演の中では、映画やテレビ、ビデオなど他の映像メディアと比較してゲームがどうと言ってはいない。これでは説得力に欠ける。社会的地位が低いゲームだから攻撃対象にしただけと捉えざるを得ない。例えばこれが映画だったら彼の話はどれだけ支持されるのだろう。彼はわかってやっているのかもしれないが。
もうひとつ、森氏は「ゲーム脳」といったことでくくりすぎるきらいがある。例えばゲーム脳の症状はADD・ADHDアスペルガーといったものとよく似ている。ゲーム脳とは環境要因により生じるものであるが、ADDやアスペルガーは今日では遺伝や生まれつきのものとされる。そんななか「多動であったりするのはすべて親の責任。教育の問題」と言い切ってしまうのはどうかと思うのだ。仮にも医学博士としては無責任だと思うのだ。




・・・あと、どうでもいいことだけど、ヲタの質問はよろしくなかった。言葉を選ぶべきだと思った。挨拶くらいしっかりするべきだ。質問内容の正当性はどうあれ大人はそういうところをみるので。
なんかまとまり悪いですが、もう寝ます。

*1:ここ3センチのような気がする。僕のメモの書き違えかも。

*2:公演中ではケゼル博士の〜とあったが、アマラ・カマラの姉妹のお話だと思われる。

*3:ここら辺よくわからなかった。とりあえず参考URLhttp://www.iodata.net/sohot/enjoy/spot/work/no16_alpha/alpha1.htm